ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

第51帖 浮舟 / 第17場面

両殿からの文

あらすじ・人物・読み方

母が帰った宇治に薫と匂宮の文が届き、浮舟は返事に窮する。両殿の使者が行き違う様子から、事の露見の兆しが見える。

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浮舟・第17場面0 / 19
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悩ましそうに痩せていらっしゃるのを、乳母にも言って、「しかるべきお祈りなどをさせなさい。祭や祓などもするべき様子」などと言う。お手洗川で禊をさせたそうなのを、こうとも知らずに万事に言い騒ぐ。

「人が少ないようです。よくそうあるべき辺りを訪ねて。今のお参りはお止めなさい。高貴なお仲らいは、正身こそ、何事もおっとりお思いになるでしょうが、好ましくない仲となってしまった辺りは、煩わしいこともあるでしょう。

隠し密めて、そのような心をなさい」など、思い至らないことなく言い置いて、「あちらで患っている人も、気がかりです」と言って帰るのを、たいそう物思いらしく、万事心細いので、「また会い見てこそ、どうにでもなれ」と思うと、

「気分が悪くございますのにも、お目にかかれないのが、たいそう気がかりに思われますので、しばらくも参って来ていただきたいものです」と慕う。「そう思っておりますが、あちらもたいそう物騒がしくございます。この人々も、儚いことなどはできないように、狭くなどございますので。

武生の国府にお移りになっても、忍んで参って来ましょう。並々の身のほどは、このようなおためこそ、気の毒でございます」などと、泣きながらおっしゃる。

殿のお手紙は今日もある。悩ましいと申し上げていたのを、「どうか」と、お尋ねになっている。「自分でと思っておりますが、無体な障りが多くて。この頃の暮らしにくさこそ、かえって苦しく」

などとある。宮は、昨日のお返事もなかったのを、「どうお思い漂うのでしょう。風の靡く方も後ろめたく。ますます惚れ増して眺めております」

など、これは多くお書きになっている。

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底本:北村季吟編『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館蔵 本別3-1 第51冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。