謡曲「羽衣」 / 第4場面
舞の約束と衣の返還
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あらすじ・人物・読み方
白龍は衣を返す前に、天人の舞楽をここで奏してほしいと条件を出す。天人は天上へ帰れる喜びに舞を約束するが、衣なくては舞えないと、先に衣を返すよう願う。疑う白龍に天人は「天に偽なし」と答え、白龍は恥じて衣を返し、天人は衣を着て霓裳羽衣の曲を舞い始める。
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白龍「しばらく。かねて承っている天人の舞楽を、ただ今ここで奏してくださるなら、衣をお返し申し上げましょう。天人「嬉しいこと、さては天上に帰ることができました。この喜びに沖の眺めもひとしおです。人間のお遊びの記念の舞、月宮を巡らす舞曲があります。ただ今ここで奏しながら、世の憂き人に伝えましょう。とはいえ、衣がなくてはかないません。ですから、まずお返しください。
白龍「いや、この衣を返したら、舞曲をなさらずそのままに、天にお上がりになるのでしょう。天人「いや、疑いは人間にこそあるもの、天に偽りはないものを。白龍「ああ恥ずかしい、そうであればと、羽衣を返し与えると。
天人「少女(天人)は衣を着ながら、霓裳羽衣の曲を奏し。白龍「天の羽衣は風に和(やわら)ぎ、天人「雨に潤う花の袖。白龍「一曲を奏で、天人「舞うということである。
地謡「東遊の駿河舞。東遊の駿河舞、この時が初めてであろう。地謡「そも久堅の天というのは、二神出世の古、十方世界を定めた時に、空は限りもないけれど、久方の、空と名付けた。
天人「そうしてなかんずく月宮殿のありさまは、玉斧の修理が絶えることなくあって、地謡「白衣黒衣の天人たちが、数を三五(さんご)に分けていて。
底本:『謡曲二百番:四流対照』下巻 芳賀矢一訂、金港堂書籍、明治42年[1909](国立国会図書館蔵 94-567)所収「羽衣」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』下巻(金港堂書籍、国立国会図書館蔵 94-567)所収「羽衣」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。