方丈記 / 第7場面
わが半生と出家
あらすじ・人物・読み方
賀茂の社家に生まれた長明は、家を失い、五十で出家し、大原から日野へと庵を小さくしていく。
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方丈記・第7場面0 / 28
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このような災いどもを思うにつけ、自分の身と住まいと、ますますはかないものである。年を重ね、世を経るほどに、身の上のことも、さまざまであった。
若い時は、和歌に心をかけ、管絃の道にも出入りして、世の人々と交わり、家のことも、営んでいた。賀茂神社の社家に生まれて、心も、しだいに深くなっていった。
父方の祖母の家に住んで、十年余りを経たころに、その家をも失って、三十を過ぎて、あらためて自分の心のままに、一つの庵を結び、十年ほどを過ごした。
五十歳の春、家を出て、世を逃れて、山に入り、門も閉ざし、車も捨てて、雪の山、風の里を、白河のほとりで、年を重ねた。
大原山に庵を結んで、六十の齢を重ねたころに、その庵も、やや古びて、狩人の一夜の宿のように、年老いた蚕の、二度の繭のように、いよいよ小さくなっていった。
底本:『方丈記』正保4年[1647]村上平楽寺刊(京都・二条通玉屋町)・国立国会図書館蔵 857-80。本文画像:所蔵機関の公開資料。正保4年[1647]村上平楽寺刊『方丈記』(国立国会図書館蔵 857-80)の本文を原画像と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。