ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

方丈記 / 第8場面

方丈の庵

あらすじ・人物・読み方

日野山の奥の一丈四方の庵。その造りと調度、庭と四季、音楽の楽しみを記す。

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今、日野山の奥に、一丈四方の庵を結んでいる。そのありさまは、一丈四方で、高さは七尺に余らないほどである。地を占めて、場所を定め、組み立てて〔屋根を〕葺いて、〔材は〕二両の車で、運ぶのに足りた。

西に、阿弥陀の画像を安置し、その傍らに、普賢・不動の像を置き、『往生要集』をはじめとして、自分の歌集なども、載せて置いてある。筆・硯・墨などを載せ、琵琶や琴も、傍らに置いてある。

東の垣には、窓を開けて、枕の上に、庭を望み、岩を畳み、水を引いて、林檎を拾い、瓜も植えて、山の暮らしを、営んでいた。

春は、藤の花が紫の雲のように、西に垂れて、咲き匂い、夏は、時鳥の声を聞き、秋は、月の光に、心を澄まし、冬は、雪を眺めて、昔を思っていた。

松を渡る風の響きは、秋風の楽〔の調べ〕、流水の曲は、琴の音に〔たとえられ〕、私の耳には、楽しみである。人に聞かせようとも思わず、一人で、楽しんでいた。

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底本:『方丈記』正保4年[1647]村上平楽寺刊(京都・二条通玉屋町)・国立国会図書館蔵 857-80。本文画像:所蔵機関の公開資料。正保4年[1647]村上平楽寺刊『方丈記』(国立国会図書館蔵 857-80)の本文を原画像と照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。