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紫式部集 / 第6場面

月と花の贈答

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月と花の贈答をもとにした創作画
あらすじ・人物・読み方

文の絶えた男とのさゝがにの応酬、月影の歌、かひ沼の池の試作、五節の記事、三笠山の贈答、八重桜と簪の歌。

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紫式部集・第6場面0 / 40
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原文・発音の読み・現代語

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返歌。九月、つでもうに成ってしまった。霜枯れの浅茅に紛れるささがにの、どの折に、こうと見えるのだろう。

何の折にか、人の返事に。入る方に明らかであった月影を、上(うわ)の空にも待った夜半のことよ。返歌。差して行く山の端も皆曇り、心の空に冴えた月影よ。

また同じ頃、九月の月明き夜、親方の秋の哀れを思いやれ。月に心はあくがれなくとも。

六月ばかり、撫子の花を見て、垣根晴れ、涼しさ勝る床の夏に、露を掻き添えん、脇までも見ないでおこう。

物思いをするのかと人が問い給うた返事に、九月つでもり、花薄の葉分の露よ、ああ、こうして枯れゆく野遊びにさえ、留まるのだろう。

煩わしい事のある頃であった。かひ沼の池という所がある人の、不思議な歌物語をするのを聞いて、試しに詠もうという(歌)。世に経るにつけ、浅香沼に生けてはいられまいと思い沈む。底は去らないけれど。また、心地よげに言い合わそうとて、心ゆく水の景色は、今日ぞ見る。今夜、世に経つる、かひ沼の池よ。

侍従宰相の五節の帳場、宮の御前に、井戸端の近い弘徽殿の殿の右京が、一途に夜去るその様子で、あった事などを、人々が出て、日の影を遣る、指しえぎらい外すべき扇など添えて、添えて、多かった豊の宮人は、指し分けて、去る君の影を哀れと見た。中将・少将と名ある人々の自邸は外にあって、少将の君を、夜あああ交いつつ語らうのを聞いて、どありの中将(へ)。将(へ)。三笠山、同じ麓を指し分けて、霞に谷を隔ててしまったな。返歌。指して見ている事こそ形見。三笠山の霞を吹き解く風をこそ待て。

紅梅を折って、里より招こうとして、埋もれ木の下に痩せる梅の花よ。香をだけでも散らせ、雲の上まで。

卯月に、八重桜の花を内裏で、九重の匂うのを見れば、桜狩りが重なって来た、春の盛りか。桜の花の祭りの日まで、散り残った遣いの少将が簪に給うといって、葉に書く(歌)。神代にも、あっただろうか。山桜を今日の簪に折った例は。

睦月の三日、内裏から出て、古里の太師の端に、こよなく散ら積もり、荒れ勝っていたのを、言忌みもしたか。変えず、改めて、今日しも物の悲しいのは、身の憂さがまた、先に変わってしまったからか。

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底本:『日本歌学全書 第3編』佐々木弘綱・佐々木信綱共編並標註(博文館、明治24年[1891])。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治24年(1891)佐々木弘綱・佐々木信綱共編並標註『日本歌学全書 第3編』(博文館)所収「紫式部集」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残し、標註・傍註は転写していません。発音の読みと独自訳を添えています。