謡曲「浮舟」 / 第2場面
柴積み船の女
あらすじ・人物・読み方
宇治の橋柱のほとりで、柴積み船の女が憂き身を歎く。僧は女に、この里に住んだ古人を尋ねる。
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シテの一声。「柴積み船に寄せる波も、なお手がかりのない、憂き身であることよ。憂きは心の罪だといって、誰の世をかこつ手立てもない。
シテのサシ。「住み果てぬ住まいは宇治の橋柱。立ち居も苦しい思い草。葉末の露のような憂き身で、老い行く末も白真弓のように、もとの心を歎くのである。
歌。「とにかくに、定めなき世の影を頼む。月日も受けよ、行く末の、繰り返し、とにかくに、定めなき世の影を頼む。月日も受けよ、行く末の、神に祈りが叶うなら、頼みをかけて御注連縄、長く世をも祈ろう、繰り返し、神に祈りが叶うなら、頼みをかけて御注連縄、長く世をも祈ろう。
ワキの言葉。「もし、そこの女性に、お尋ね申し上げたいことがございます。シテの言葉。「私のことでしょうか。何事でしょうか。ワキ「この宇治の里において、昔どのような方がお住まいだったのでしょうか。詳しくお物語りください。名所も数多くあるはずです。お教えください、シテ「この所には住んでおりますが、賤しい身ですので、詳しいことは存じません。
底本:謡曲二百番:四流対照 上巻 芳賀矢一訂(金港堂書籍、明治42年)。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』上巻(金港堂書籍)所収「浮船」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。