海山の
底は心を
尽くし果てみいとの涙
なかれき
海や山の底まで心を尽くし果て、〔御鉢のために〕涙が流れた。
発音の読み:うみやまの / そこわこころお / つくしはて / みいとのなみだ / なかれき
海山の
底は心を
尽くし果てみいとの涙
なかれき
海や山の底まで心を尽くし果て、〔御鉢のために〕涙が流れた。
発音の読み:うみやまの / そこわこころお / つくしはて / みいとのなみだ / なかれき
しら山に
あへば光の
うするかと鉢を棄てても
頼まるるかな
白山に〔合わせれば〕光が薄れてしまうかと思って、鉢を棄ててしまったのに、〔まだ私を〕頼みにされるのですね。
発音の読み:しらやまに / あえばひかりの / うするかと / はちおすてても / たのまるるかな
いたづらに
身はなしつとも
玉の枝を手折らでさらば
歸らざらまし
命を無駄に捨てることになっても、玉の枝を手折らずに帰ることは、決してなかったでしょう。
発音の読み:いたずらに / みわなしつとも / たまのえだお / たおらでさらば / かえらざらまし
呉竹の
世世の竹取り
野山にもさやは恋しき
ふしを見し世も
呉竹の、世々の竹取が野山で〔竹を取るように〕、ああ恋しい、節を見た世も〔あったことだ〕。
発音の読み:くれたけの / よよのたけとり / のやまにも / さやわこいしき / ふしおみしよも
わが袂
けふかわけければ
恋しさの千種のかきも
わすられぬべし
私の袂が今日乾いたならば、恋しさの千種の思いも、忘れられてしまうことでしょう。
発音の読み:わがたもと / きょうかわけければ / こいしさの / ちくさのかきも / わすられぬべし
まことかと
聞きて見づれば
言の葉を飾れる玉の
枝にぞありける
本当かと思って聞いて見てみれば、言葉を飾っただけの玉の枝であったことだ。
発音の読み:まことかと / ききてみづれば / ことのはお / かざれるたまの / えだにぞありける
かぎりなき
思ひに焼けぬ
皮ごろも袂乾きて
今日こそは見め
限りない思いに焼けない皮ごろも、袂が乾いて、今日こそは〔姫に〕お会いできるでしょう。
発音の読み:かぎりなき / おもいにやけぬ / かわごろも / たもとかわきて / きょうこそわみめ
名残なく
もゆと知りせば
かは衣なれもひの外に
置きて見ましを
惜しむ間もなく燃えてしまうと知っていたら、皮衣よ、慣れた思いのほかに置いて、よく見たでしょうに。
発音の読み:なごりなく / もゆとしりせば / かわごろも / なれもひのほかに / おきてみましお
年を經て
波立よらぬ
住の江のまつらひ惜しと
聞くはまことか
年月を経て、波も立たない住の江の、松を惜しむと聞くのは、本当のことですか。
発音の読み:としおへて / なみたちよらぬ / すみのえの / まつらいおしと / きくわまことか
死ぬる命を
すくひやらせぬ
かひなくかくありける
ものをこびはてて
死にゆく命を、救いもできない、かいもなく、こんなことになってしまったものを、乞い果ててしまったことだ。
発音の読み:しぬるいのちお / すくいやらせぬ / かいなく / かくありける / ものおこびはてて
歸るさの
みゆき物憂く
おぼほれてそむきてとまる
かぐや姫ゆゑ
帰り道の行幸が物憂く感じられて、ぼんやりとしてしまう。背いて留まるかぐや姫のゆえに。
発音の読み:かえるさの / みゆきものうく / おぼほれて / そむきてとまる / かぐやひめゆえ
葎はふ
下にもとは
經ぬる身のなにかはたまの
うてなをも見む
葎の茂る下でさえ、長く月日を経てきた身なのに、どうして玉の御殿などを見ることがありましょう。
発音の読み:むぐらはう / したにもとわ / へぬるみの / なにかわたまの / うてなおもみん