ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE

物語の中の和歌

紫式部日記

藤原道長 から 紫式部 へ

をみなへし
盛りの色を
見るからに
露のわきける
身こそ知らるれ

女郎花の盛りの色を見るにつけても、〔朝露に濡れる花とそうでないものとを〕分けた露のように、〔花にも劣る〕わが身のほどが思い知られます。

発音の読み:おみなえし / さかりのいろを / みるからに / つゆのわけける / みこそしらるれ

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紫式部 から 藤原道長 へ

白露は
わきてもおかじ
をみなへし
心からにや
色の染むらむ

白露は〔花を〕分け隔てて置くことはあるまい。女郎花よ、お前の心から〔その魅力で〕色が染まるのだろうか。

発音の読み:しらつゆは / わけてもおかじ / おみなえし / こころからにや / いろのそむらむ

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詠み手未詳 から 詠み手未詳 へ

きの國の
しらゝの濱に
ひろふてふ
この石こそは
いはほともなれ

紀の国の白らの浜で拾うというこの石こそは、岩のように〔立派なもの〕であれ。

発音の読み:きのくにの / しららのはまに / ひろうてふ / このいしこそは / いわほともなれ

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紫式部 から 藤原道長 へ

菊のつゆ
わくらばかに
袖ぬれて
花のあるじに
千代はゆづらむ

菊の露にほんの僅か袖が濡れて、花の持ち主〔道長〕に千代〔の長寿〕は譲りましょう。

発音の読み:きくのつゆ / わくらばかに / そでぬれて / はなのあるじに / ちよはゆずらむ

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女房たち から 女房たち へ

めづらしき
ひかりさし添ふ
杯は
もちながらこそ
千代もめぐらめ

珍しい光が差し添う杯は、〔この〕持ちながらこそ千代をも巡るであろう。

発音の読み:めずらしき / ひかりさしそふ / さかづきは / もちながらこそ / ちよもめぐらめ

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紫式部 から 紫式部 へ

水鳥を
みづのうへとや
よそに見む
我もうきたる
世をすぐしつゝ

水鳥を水の上とよそに見ようか、私も浮いた世を過ごしながら。

発音の読み:みずどりを / みずのうえとや / よそにみむ / われもうきたる / よおすぐしつつ

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紫式部 から 小少将の君 へ

雲間なく
ながむる空も
かきくらし
いかに忍ぶる
時雨なるらむ

雲の切れ間もなく眺める空もすっかり暗くなって、どのように堪えている時雨なのだろうか。

発音の読み:くもまなく / ながむるそらも / かきくらし / いかにしのぶる / しぐれなるらむ

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小少将の君 から 紫式部 へ

ことわりの
時雨の空は
雲間あれど
ながむる袖ぞ
かわく間もなき

時雨の空には、もっともなことに雲の切れ間もあるけれど、眺める〔私の〕袖は乾く間もない。

発音の読み:ことわりの / しぐれのそらは / くもまあれど / ながむるそでぞ / かわくまもなき

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詠み手未詳 から 詠み手未詳 へ

いかにいかゞ
數へやるべき
八千年の
あまり久しき
君がみよをば

どのようにどう数えやることができようか、八千年あまりも長い君の御代を。

発音の読み:いかにいかが / かぞえやるべき / はっせんねんの / あまりひさしき / きみがみよをば

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詠み手未詳 から 詠み手未詳 へ

あしたづの
餘しあれば
君が代の
千年の數も
かぞへとりてむ

朝鶴の余りがあるので、君の御代の千年の数も数え取ってしまおう。

発音の読み:あしたづの / あまりしあれば / きみがよの / ちとせのかずも / かぞえとりてむ

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大納言の君 から 紫式部 へ

うき寝せし
水の上のみ
こひしくて
鴨のうは毛に
冴えぞ劣らぬ

つらい浮き寝をした水の上の身が恋しくて、鴨の上毛に〔寒さが〕冴えるのに劣らない。

発音の読み:うきねせし / みずのうえのみ / こいしくて / かものうわげに / さえぞおとらぬ

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紫式部 から 大納言の君 へ

うちはらふ
友なきころの
寝ざめには
つがひし鴛ぞ
夜半に戀しき

払いのける友もない頃の寝覚めには、つがいの鴛こそ夜中に恋しい。

発音の読み:うちはらう / ともなきころの / ねざめには / つがいしおしぞ / よわにこいしき

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紫式部 から 紫式部 へ

おほかりし
豊の宮人
さしわきて
しろき日陰を
あはれとぞ見し

大勢いた豊の宮人たちが、さし分けて〔立つ〕白い日陰を、しみじみと見たことだ。

発音の読み:おおかりし / とよのみやびと / さしわきて / しろきひかげを / あわれとぞみし

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紫式部 から 紫式部 へ

年くれて
わが世ふけゆく
風の音に
心の中の
すさまじきかな

年が暮れて、私の人生も更けゆく。風の音に、心の中のすさまじさよ。

発音の読み:としくれて / わがよふけゆく / かぜのおとに / こころのなかの / すさまじきかな

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藤原道長 から 紫式部 へ

すきものと
名にしたてれば
見る人の
折らで過ぐるは
あらじとぞ思ふ

好き者と名を立てれば、見る人が〔梅の枝を〕折らずに過ぎることはあるまいと思う。

発音の読み:すきものと / なにしたてれば / みるひとの / おらですぐるは / あらじとぞおもう

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紫式部 から 藤原道長 へ

人にまだ
折られぬものを
誰か此の
すきものぞとは
くちならしけむ

人にまだ折られていないものを、誰がこの好き者だと言って口馴らしたのだろう。

発音の読み:ひとにまだ / おられぬものを / たれかこの / すきものぞとは / くちならしけむ

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紫式部 から 紫式部 へ

たゞならじ
と許りたゝく
水鶏ゆゑ
あけてはいかに
悔しからまし

ただ事ではないとばかりに叩く水鶏ゆえ、〔戸を〕開けてしまったらどんなに悔しいだろう。

発音の読み:ただならじ / とばかりたたく / すいけいゆえ / あけてはいかに / くやしからまし

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