ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE
春の都で母の文を胸にする熊野と宗盛。熊野をもとにした創作画

未詳 / 室町 / 能の台本

謡曲「熊野」 ゆや

母を思う熊野と、散りゆく桜。
遠江の池田と都を結ぶ、一首の思い。

いま読めます / 全6場面・無料

都の花より、帰りたい場所。

母の病と、一首の歌。都に留め置かれた熊野が、花見の宴で詠んだ歌によって帰郷を許されるまでの謡曲です。熊野は遠江国池田宿(現・磐田市)の長者の娘とされます。

遠江国池田の宿の長者の娘・熊野は、平宗盛に召されて都に留め置かれている。病の老母を見舞うため再三暇を乞うが許されず、花見の車に同乗させられる。清水の花の宴で、にわか雨に散る花を見て詠んだ一首が宗盛の心を動かし、熊野はついに東への帰郷を許される。

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挿絵・人物画は本文をもとにした創作イメージです。原典の図版や史料の再現図ではありません。

この作品の人物

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熊野

遠江国池田の宿の長者の娘。シテを務める。平宗盛に召されて都に留め置かれ、病の老母を見舞うため暇を乞い続ける。花見の宴で短冊に詠んだ一首が宗盛の心を動かし、東への帰郷を許される。

平宗盛

平清盛の三男。ワキを務める。熊野を都に留め置いて花見の相手とするが、文の朗読と、にわか雨に散る花を詠んだ熊野の歌に心を打たれ、東への暇を許す。

朝顔

池田の宿の長者のもとに仕える女。ツレを務める。老母の文を携えて熊野を迎えに上京し、都での熊野の世話と、宗盛への取り次ぎの補助を務める。

太刀持

平宗盛に仕える太刀持。ワキヅレ(トモ)を務める。宗盛の館と清水の宴で、宗盛と熊野・朝顔の間の取り次ぎを務める。

出典・本文の注記

底本:『謡曲全集 上巻』大町桂月・丸岡桂 校、至誠堂、明治45年[1912](国立国会図書館蔵 特63-605)所収「熊野」。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治45年(1912)大町桂月・丸岡桂 校『謡曲全集 上巻』(至誠堂、国立国会図書館蔵 特63-605)所収「熊野」の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と段落単位で照合した独自編集本文です。底本の字句を残し、句読点を補っています。発音の読みと独自訳を添えています。

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