ATAWI 古典文学JAPANESE CLASSICS, AT YOUR PACE
葵上を表す衣を前にした六条御息所の生霊と照日の神子、横川の小聖。謡曲をもとにした金地の創作画

未詳 / 室町 / 能の台本

謡曲「葵上」 あふひのうへ

梓弓に呼ばれた六条御息所の生霊。
執心と祈りが交わる、源氏の能へ。

いま読めます / 全6場面・無料

その恨みの先に、祈りは届くか。

梓弓の口寄せに現れる六条御息所の生霊。『源氏物語』を題材にした、能の代表的な怨霊物です。葵上への嫉妬に燃える生霊が、横川の小聖の加持の前に成仏得脱します。

光源氏の正妻・葵上の物の怪の患いに、貴僧・高僧の祈祷も効き目がない。大臣の求めで照日の神子が梓弓の口寄せを行うと、賀茂の車争いで葵上に恥をかかされた六条御息所の生霊が、破れ車に乗って現れる。生霊は名乗りを上げて恨みを訴え、制止を振り切って葵上の枕元を打つ。大臣が横川の小聖を招いて加持祈祷を行わせると、生霊は五大明王の法力と読誦の声の前に退き、成仏得脱の身となる。『源氏物語』を題材とする、能の代表的な怨霊物。

場面を選んで読む

全6場面

挿絵・人物画は本文をもとにした創作イメージです。原典の図版や史料の再現図ではありません。

この作品の人物

人物を知る

六条御息所

前東宮の妃で、光源氏の年上の愛人。シテを務める。賀茂の祭の車争いで葵上の従者に車を退けられた屈辱と嫉妬から生霊となり、梓弓の口寄せに現れて葵上を打つが、横川の小聖の加持の前に成仏得脱する。『源氏物語』の六条御息所(源氏物語の人物マスタと同一ID)と同一人物。

横川の小聖

比叡山横川に住む行者(聖)。ワキを務める。大臣の使に応じて葵上のもとへ参り、数珠を押しもんで加持祈祷を行い、五大明王の法力で御息所の生霊を退ける。

大臣

朱雀院に仕える大臣。葵上(左大臣の御息女)の物の怪の平癒を図り、照日の神子を召して口寄せを行わせ、さらに横川の小聖を招く使いを出す。

照日の神子

梓弓の口寄せで知られる巫女。清浄の詞を唱えて霊を呼び寄せ、現れた御息所の生霊と問答し、後妻打ちを思い留まるよう諫める。

狂言

大臣に仕える者。狂言方(アイ)を務める。大臣の命で横川へ小聖を迎えに行き、小聖と大臣の間を取り次ぐ。底本では口上は「シカシカ」と略記される。

出典・本文の注記

底本:『謡曲二百番:四流対照』上巻 芳賀矢一訂、金港堂書籍、明治42年[1909]所収「葵上」。本文画像:所蔵機関の公開資料。

明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』上巻(金港堂書籍)所収「葵上」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。

底本と編集方針を見る本文と訳の注記を見る