大臣
朱雀院に仕える大臣。葵上(左大臣の御息女)の物の怪の平癒を図り、照日の神子を召して口寄せを行わせ、さらに横川の小聖を招く使いを出す。
呼び名:大臣
光源氏の正妻・葵上の物の怪の患いに、貴僧・高僧の祈祷も効き目がない。大臣の求めで照日の神子が梓弓の口寄せを行うと、賀茂の車争いで葵上に恥をかかされた六条御息所の生霊が、破れ車に乗って現れる。生霊は名乗りを上げて恨みを訴え、制止を振り切って葵上の枕元を打つ。大臣が横川の小聖を招いて加持祈祷を行わせると、生霊は五大明王の法力と読誦の声の前に退き、成仏得脱の身となる。『源氏物語』を題材とする、能の代表的な怨霊物。
肖像は物語をもとにした創作画です。人物の年齢・衣装は場面によって変わります。
朱雀院に仕える大臣。葵上(左大臣の御息女)の物の怪の平癒を図り、照日の神子を召して口寄せを行わせ、さらに横川の小聖を招く使いを出す。
呼び名:大臣梓弓の口寄せで知られる巫女。清浄の詞を唱えて霊を呼び寄せ、現れた御息所の生霊と問答し、後妻打ちを思い留まるよう諫める。
呼び名:ミコ前東宮の妃で、光源氏の年上の愛人。シテを務める。賀茂の祭の車争いで葵上の従者に車を退けられた屈辱と嫉妬から生霊となり、梓弓の口寄せに現れて葵上を打つが、横川の小聖の加持の前に成仏得脱する。『源氏物語』の六条御息所(源氏物語の人物マスタと同一ID)と同一人物。
呼び名:シテ比叡山横川に住む行者(聖)。ワキを務める。大臣の使に応じて葵上のもとへ参り、数珠を押しもんで加持祈祷を行い、五大明王の法力で御息所の生霊を退ける。
呼び名:ワキ各場面をもとに制作した創作画です。原典の図版や史料の再現図ではありません。
物の怪の訴え朱雀院に仕える大臣が、左大臣の息女・葵上の物の怪の患いを訴える。貴僧・高僧の祈祷も医療も効き目がないため、照日の神子を召して梓弓の口寄せを行い、生霊か死霊かを見分けさせることになる。第2場面
梓弓の口寄せ神子が清浄の詞を唱えて梓弓を鳴らすと、破れ車に乗る怨霊が現れる。霊は輪廻と無常を謡い(次第・サシ)、梓の弓の音に引かれて顕れた思いを歌に託す。第3場面
怨霊の名乗り霊は梓の弓の音の在りかを神子と問答し、姿の見えない上臈が破れ車に取りついて泣く有様を語る。大臣が名を名乗るよう促すと、霊は六条御息所の怨霊であると明かし、かつての栄華と今の恨みを訴える。第4場面
打擲と小聖への使い霊は制止を振り切って葵上の枕元を打つ。地謡は深い恨みと、生きてこの世にあれば光る君と契ったであろう無念を謡う。霊が破れ車に乗って隠れると、大臣は横川の小聖を招く使いを出す。第5場面
小聖の到着と加持横川の小聖が大臣の使いに応じて到着する。小聖は病人(葵上)の臥す大床へ進み、役行者の跡を継ぐ行者として、数珠を押しもみながら加持の祈りを始める。各場面をもとに制作した創作画です。原典の図版や史料の再現図ではありません。
『謡曲二百番:四流対照』上巻 芳賀矢一訂、金港堂書籍、明治42年[1909]所収「葵上」
底本:『謡曲二百番:四流対照』上巻 芳賀矢一訂、金港堂書籍、明治42年[1909]所収「葵上」。本文画像:所蔵機関の公開資料。
明治42年(1909)芳賀矢一訂『謡曲二百番:四流対照』上巻(金港堂書籍)所収「葵上」(観世流)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の主文(観世流)の字句を残し、他流の異文符は本文に含めていません。発音の読みと独自訳を添えています。