第1場面 忘れられない人
思いどおりに会えなかった源氏は、小君に再会の手立てを求めます。空蝉も、便りがないことを気にしながら、関係を終えようと思います。
源氏物語 第3帖
源氏は小君の案内で、再び空蝉の暮らす家を訪ねます。碁を打つ空蝉と軒端荻を垣間見ますが、空蝉は気配を察して衣だけを残して逃れます。源氏と二人の女性には、それぞれ別の思いが残ります。
思いどおりに会えなかった源氏は、小君に再会の手立てを求めます。空蝉も、便りがないことを気にしながら、関係を終えようと思います。
紀伊守の留守に、源氏は小君に導かれて家へ入ります。空蝉と紀伊守の妹が碁を打つ姿を、格子の隙間から見つめます。
小君は姉へ相談できないまま、家の人々が寝静まるのを待ちます。源氏は几帳の奥へ忍び入り、空蝉はその気配を察します。
空蝉は逃れ、源氏は残って寝ていた軒端荻を空蝉と思って近づきます。人違いを知っても身元を明かせず、心には逃れた人への思いが強まります。
退出しかけた源氏と小君は、年配の女房に声をかけられます。どうにか帰った源氏は、残された衣を身近に置いて空蝉を思い続けます。
源氏の手習いの歌を小君が持ち帰ります。空蝉は残された衣と自分の境遇を思い、誰にも知られない言葉を書きつけます。
底本:北村季吟『湖月抄』延宝元年[1673]刊・国立国会図書館所蔵 本別3-1 第3冊。本文画像:所蔵機関の公開資料。延宝元年(1673)刊『湖月抄』の大字本文を原画像とOCRで照合した独自編集本文です。通行字体・現行仮名へ写し、濁点・句読点を補い、反復符を展開しています。発音の読みと独自訳を添え、補った主語などは〔 〕で示します。