狭衣の君
主人公。堀川の大殿の子で、天人の子と噂される美貌の貴公子。源氏の宮の姫宮への密かな愛とその死を経て、出家への思いと現世の執着の間で揺れながら、多くの女君と歌を交わす。

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天人の子と噂される美貌の貴公子・狭衣の君が、源氏の宮の姫宮への密かな愛とその死、斎院・女二の宮・今姫君らとの歌の交わり、出家への思いと断念を経て、式部卿宮の孫の姫君と結ばれるまでを描く、王朝物語の代表作の一つ。
天人の子と噂される美貌の貴公子・狭衣の君が、源氏の宮の姫宮への密かな愛とその死、斎院・女二の宮・今姫君・太秦の女君らとの歌の交わり、出家への思いと断念を経て、式部卿宮の孫の姫君と結ばれるまでを描く。王朝物語の代表作の一つ。
挿絵・人物画は本文をもとにした創作イメージです。原典の図版や史料の再現図ではありません。
少年の春狭衣の君は源氏の宮の御方に出入りし、姫宮への思慕を募らせる。山吹や菖蒲の贈答が重ねられる(巻第一之上)。第2場面
天人の降臨天稚御子が雲に乗って降り、狭衣を天上へ誘う。帝や大臣らが騒ぎ、木幡の僧都の祈りが行われる。第3場面
威儀師の騒ぎ仁和寺の威儀師が太秦の女君を盗もうとして騒ぎになる。狭衣は盗まれた女を飛鳥井の邸まで送り、蚊遣火の歌を交わして契る。第4場面
源氏の宮への思慕(巻第一之下)巻第一之下に入る。狭衣は源氏の宮の冷たさに苦しみつつ碁の席に侍り、東院に迎えられる娘の話を聞く。第5場面
飛鳥井の姫君と今姫君狭衣は飛鳥井の姫君を訪ね浅香の沼の贈答歌を交わす。太政大臣邸に迎えられた今姫君の境遇が紹介され、狭衣は西の対を覗き見する。
太秦の女君狭衣は雨の夜に太秦の女君を訪ね「さよ衣」の贈答歌を交わす。帰宅後の夢に女君の懐妊を暗示する姿を見る。第7場面
女君の消息太秦の女君が海に身を投げたという話が伝わり、形見の扇が狭衣のもとに届く。年月が過ぎ、狭衣は位を進める。第8場面
女二の宮(巻第二之上)巻第二之上に入る。帝は女二の宮の後見と縁組みを狭衣に望み、狭衣は宮中に忍んで女二の宮の琴を聞き、歌を交わす。第9場面
姫宮の懐妊狭衣と姫宮の密通が、落とした懐紙から大宮・母宮に知れる。姫宮の懐妊が次第に明らかになる。第10場面
姫宮の出産病の姫宮のもとを左大将が訪う。姫宮は若宮を出産し、その夕べに大宮が亡くなる。
姫宮の出家(巻第二之下)巻第二之下に入る。姫宮は横川の僧都を師として出家し、狭衣は秘事を隠されていた悲しみに沈む。第12場面
源氏の宮との雪見狭衣は源氏の宮のもとで雪見をし、文と歌を交わす。唐泊で入水した女の顛末も語られ、狭衣は形見の扇を前に悲嘆する。第13場面
女二の宮への文女二の宮との文と歌の贈答が続く。賀茂の祭や宮中の行事の中でも、狭衣の思いは宮に向けられる。第14場面
今姫君をめぐる騒動(巻第三之上)巻第三之上に入る。今姫君のもとへ宰相の君が忍び入り、母代が気付いて大騒ぎになる。今姫君は髪を削いで尼になろうとする。第15場面
一品の宮(巻第三之中)巻第三之中に入る。帝は女院の姫宮(一品の宮)を藤壺に迎え、狭衣は少将の命婦を介して宮へ文を送る。
狭衣の苦悩狭衣は出家への思いと現世への執着の間で揺れ、ゆかりの人々との歌の交わりが続く。第17場面
故姫宮の亡霊(巻第三之下)巻第三之下に入る。故姫宮の亡霊が狭衣の夢枕に立ち、常磐の森では太秦の女君の書き付けが見つかる。第18場面
出家の決意狭衣は出家を思い立つが果たせず、賀茂へ詣でて祈る。一品の宮・斎院との歌の交わりがある。第19場面
姫君の出現(巻第四之上)巻第四之上に入る。斎院・女御との桜の贈答の後、花見・蹴鞠の折に狭衣は式部卿宮の孫の姫君の姿を垣間見し、その素性を知る。女一の宮が生まれ、女御は后に立つ。第20場面
姫君との贈答(巻第四之中)巻第四之中に入る。狭衣は姫君の手跡に心を引かれ、文と歌の贈答を重ねる。母君・妹君との歌もある。主人公。堀川の大殿の子で、天人の子と噂される美貌の貴公子。源氏の宮の姫宮への密かな愛とその死を経て、出家への思いと現世の執着の間で揺れながら、多くの女君と歌を交わす。
当代の帝。狭衣を重用し、女二の宮との縁組みを望む。物語の末尾で譲位して一條院となる。
帝の皇子。姫宮の父。狭衣の年上の従兄にあたり、雪見や文のやり取りで深く関わる。
源氏の宮の姫君。狭衣と契りを結んで若宮を生むが、やがて出家し、若くして亡くなる。没後も亡霊や絵日記によって狭衣の前に現れる。
帝の皇女。帝の望みで狭衣が後見し、宮中に忍んでの対面や文と歌の贈答を重ねる。源氏物語の女二の宮とは別人。
源氏の宮方のお年寄りの宮。姫宮の密通を知って乳母たちを詰問し、若宮の誕生の夕べに亡くなる。
姫宮の母。若宮の誕生や源氏の宮の文をめぐって歌を詠む。
飛鳥井に住む女君。盗人の騒ぎの折に狭衣に送られ、蚊遣火の歌を交わして契る。
底本:有朋堂文庫『狭衣物語』武笠三校(有朋堂書店、大正15年[1926])。本文画像:所蔵機関の公開資料。
大正15年(1926)武笠三校『狭衣物語』(有朋堂文庫)の本文を、国立国会図書館デジタルコレクションの原画像と照合した独自編集本文です。底本の字句を残し、各頁上部の内容細目(梗概)・柱・振り仮名は転写していません。発音の読みと独自訳を添えています。